トラブルを回避するための IP 設定の説明

IP アドレスの仕組み

インターネット ( TCP-IP ) を利用するためには、各端末(機器)に、一意(他と被らない独自)のアドレスを割り振る必要があります。

現在使用されているアドレスは、IPv4 と IPv6 です。

IPv4 の仕組み

IP アドレス

0 ~ 255 までの 256 個の数字を4つ組み合わせてアドレスにします。4つの数字の間には「.」をつけます。 192 と 168 と 0 と 100 なら、192.168.0.100 となります。各通信機器に最低 1 個のアドレスが割り振られ、機器に割り当てられた固有の アドレスを IP アドレスと呼びます。

グローバルアドレスとプライベートアドレス

256 個の数字 4 つでは、世界中で使うのには足りないため、外部と遮断された内部で使用するためのアドレスが指定されています。これをプライベートアドレスといいます。対して、外部と通信するためのアドレスをグローバルアドレスといいます。プライベートアドレスを割り振られた機器が外部と通信する場合、内部に設置されたゲートウェイを通して外部と通信します。この時、ゲートウェイによって、プライベートアドレスはグローバルアドレスに変換されて外部と通信し、外部からの返信はゲートウェイがプライベートアドレスに変換して内部の機器に引き渡します。プライベートアドレスは、閉鎖されたところで使用するアドレスなので、直接外部と通信する機器には使えません。

プライベートアドレスに使用できるアドレス
  • 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
  • 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
  • 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

ゲートウェイ

ゲートウェイとなる機器は、遮断された内部の機器と外部の通信を取り持つために使用されます。一般的に、グローバルアドレスとプライベートアドレスの2つのアドレスを所有します。家庭内でルーターを使ってインターネットに接続する場合、ルーターがゲートウェイを兼ねるケースが大半です。

サブネットマスク

アドレスをひとくくりのグループにして、グループ内通信をしたり、グループ内の通信を外部に漏らさないためのくくりをサブネットといいます。サブネットマスクとは、その範囲(セグメント)を示すための仕組みです。0 ~ 255 までの4つの数字で表す方法と、一つの数字で表す方法があります。 サブネットは、3 つのクラスに分かれています。

クラスA

アドレスの 4 つの数字のうち、1 番目の数字を 1 つ指定。2番目の数字は 0 ~ 255 までのうち続き番号で 2 個以上を指定。 0 ~ 255 のすべてでもいい。3 番目と 4 番目は 0 ~ 255 のすべてが使用可能。

1つの数字で示す場合4つの数字で示す場合使用できる個数
8255.0.0.016,777,216
9255.128.0.08,388,608
10255.192.0.04,194,304
11255.224.0.02,097,152
12255.240.0.01,048,576
13255.248.0.0524,288
14255.252.0.0262,144
15255.254.0.0131,072
クラスB

アドレスの 4 つの数字のうち、1 番目と 2番目の数字を 1 つ指定。3 番目の数字は 0 ~ 255 までのうち続き番号で 1 個以上を指定。 0 ~ 255 のすべてでもいい。4 番目は 0 ~ 255 のすべてが使用可能。

1つの数字で示す場合4つの数字で示す場合使用できる個数
16255.255.0.065,536
17255.255.128.032,768
18255.255.192.016,384
19255.255.224.08,192
20255.255.240.04,096
21255.255.248.02,048
22255.255.252.01,024
23255.255.254.0512
クラスC

アドレスの 4 つの数字のうち、1 ~ 3 番目の数字を 1 つ指定。4 番目の数字は 0 ~ 255 までのうち続き番号で 1 個以上を指定。

1つの数字で示す場合4つの数字で示す場合使用できる個数
24255.255.255.0256
25255.255.255.128128
26255.255.255.19264
27255.255.255.22432
28255.255.255.24016
29255.255.255.2488
30255.255.255.2524
31255.255.255.2542

アドレスの制約

各サブネットの先頭の番号と末尾の番号は、ブロードキャスト(サブネットに所属するすべてに発信)に使用されるため、機器の指定には使えません。 例えば 192.168.0.0 ~ 192.168.0.255 までを使用する場合、192.168.0.0 と 192.168.0.255 は機器に割り振る番号としては使用できないので、機器に割り振れるのは 192.168.0.1 ~ 192.168.0.254 の 254 個ということになります。

クラスの表記方法

クラスを表すのは 1 つの数字、もしくは 4 つの数字の組み合わせですから、クラスの表記方法も 2 つあります。 例えば、192.168.0.0 ~ 192.168.0.255 のクラスC の場合、

192.168.0.0/24 又は 192.168.0.0/255.255.255.0 となります。

DNS

アドレスは IPv4 の場合、4 つの数字の組み合わせですから、特定のアドレスにアクセスする(例えば WEB サイトにアクセスする)場合、その番号を入力する必要があります。番号では使いにくいため、実際には番号ではなくドメイン名やホスト名という、文字でアクセスするケースが大半です。DNS は、このドメイン名やホスト名を内部でアドレスの数字に変換する仕組みです。

IPv4 における機器へのアドレスの指定

各機器には、以下の 4 つのアドレスを指定します。

  • IP アドレス
  • サブネットマスク
  • ゲートウェイアドレス
  • DNS アドレス

DHCP サーバーの役割

各機器に IP アドレスを指定しなければインターネットに接続できませんが、WiFi でスマホを接続する場合など、空いている番号をいちいち調べて設定するのは現実的ではありません。DHCP サーバーを使用する設定にしておくと、DHCP サーバーが自動的に空いている IP アドレスを割り振ってくれます。このときに DHCP サーバーは、各機器に対し、サブネットマスクやゲートウェイアドレス、DNS アドレスなども通知してくれます。

DHCP サーバーを使用する上での注意点

DHCP サーバーは、特殊な設定をしない限り、割り振るアドレスを自分自身で管理し、外鵜への通知や問い合わせは行いません。一つのネットワーク(サブネット)の中に複数の DHCP サーバーが存在する場合、特に意図して特別な設定をしない限り、同じ IP アドレスが複数の機器に割り振られる可能性があります。同じ IP アドレスが複数の機器に割り振られた場合、正常な通信ができなかったり、ネットワーク内全体が停止するなど、不具合が起こる可能性があります。おすすめはしませんが、ネットワーク内に DHCP サーバーが複数ある状態を回避できない場合、割り振るアドレスがかぶらないよう、各 DHCP サーバーが配布する IP アドレスの範囲をずらすことで、簡易的には不具合を回避できるかもしれません。

家庭内や営業所内などで IP アドレスを割り振る場合のルール

主には 192.168. に続く 256 個のセグメントを使用するのが一般的です。但し、買ってきたばかりの機器に初めから設定されていたりするアドレスは避けるほうが無難です。

使用する IP アドレスの範囲と避けたほうがいい IP アドレスの範囲
  • 127.0.0.0 ~ 127.0.0.255 (127.0.0.0/24) サーバー機能を持つ機器等で、自分自身の内部で管理する目的で使用するアドレス通常 127.0.0.1 を local.local という名前で割り当てる)
  • 169.254.0.0 ~ 169.254.255.255 (169.254.0.0/24) 自分のネットワーク内でしか使えない既定のアドレス Windows などでネットワーク障害など、 DHCP サーバーからアドレスがもらえないときに自分に自動で割り当てる
  • 192.168.0.0 ~ 192.168.0.255 (192.168.0.0/24) 古いネットワーク機器などで 192.168.0.1 が初めから割り当てられているものがあり、こういう機器をつなぐとネットワークがおかしくなることがある
  • 192.168.1.0 ~ 192.168.1.255 (192.168.1.0/24) / 192.168.100.0 ~ 192.168.100.255 (192.168.100.0/24) ネットワーク機器などで 192.168.0.1 が初めから割り当てられているものがあり、こういう機器をつなぐとネットワークがおかしくなることがある 例:YAMAHA RTX シリーズ (192.168.1.100)、Dahua IP カメラ(192.168.1.108) など
お勧めの範囲

192.168.X.0 ~ 192.168.X.255 が一般的に使われますが、Xの部分を 3 ~ 255 で 100 を除く数字にするのが無難だと思います。 例:192.168.11.0 ~ 192.168.11.255

RTX 830 など、YAMAHA のルーターでは、複数の IP アドレスの範囲が使用できるので、例えば、電話機や IoT 機器は 192.168.21.0 ~ 192.168.21.255 を使用し、パソコンや携帯電話などは 192.168.11.0 ~ 192.168.11.255 の範囲を使うなど、複数の範囲を使って管理をするような使い方もできます。

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